15年先を想像して
漆の植栽に向けて先月に続けて木こりさんと山に入った。
一緒に歩いて漆の適地を探す。
歩きながら森のこと、木のこと教えてもらいました。
木に巻き付いた藤蔓を切り離したりしながら、地形から水の流れや植生を観察して適地を探した。
少し手を入れてあげるだけで森はどんどん変わっていくそうです。
そんな中
「結局いくら考えても何が起こるかわからない、水の流れなんてその時、そのとき対処していくしかないんやで 」って木こりさんの言葉
人なんて自然の中ではなんにも及ばない
自分たちにおこることを受け止め、乗り越えてきた木こりさんの強さを感じた。
僕たちの生活にはいたるところで木が使われている。
農業と違って林業は植えた木が育って価値がわかるまで見届けることはできない。
100年先を見ている木こりさんは山や自然に何を思っているのだろう。
家を建て、作物を作るために土地を耕し、糸を紡いで布を織り出す。
「衣」「食 」「住」
生きるために必要なこと、その繰り返し
そのなかで人とつながり、楽しみを、文化を生み出した。
山や海、自然の美しさや偉大さに感動し絵を描き、ものをつくりだした。
自然の中から感じたことを尊敬や恐れの念を持って接し表現してきた。
こんな時だからこそ工藝、アート、音楽、人がそれぞれを表現するスタイルや場所は必要なんだと改めて思う。
一人の海も一人の山も最高だけど、やっぱり「今のターン最高!」「スプレーやばい」って
言われたいし、言いたい、一緒にあがりたい、一緒に楽しみたい。
人と人のつながりが大切なんだ。
ウルシの木は10年から15年で自分が植えた木のことがわかる、使ってもらう先の人を想像することができる。
漆が採れる15年先をイメージして毎年少しずつ漆の木を植える。
植えたその場所が季節によってどんな変化をするのか想像する。
15年後の子供たちとその世界で何をしているか想像してワクワクする。
自然と人が近かった時、もっと人は謙虚だったのかもしれない。
1年後、10年後、100年後を想像して
今を生きる。
未来の世界を作るのは今生きている僕たちだ。
まだ間に合うと信じて種をまこうと思う。
今できることを少しずつ。
僕たちの『工藝の森』を作っていこうと思う。