地域に暮らしながら、道具をつくること、漆を植えること、漆を掻くこと

「うるかむまつり2017」

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2017年11月11、12日と京都府福知山市の丹波町を訪れました。
毎年恒例、NPO丹波漆主催の「うるかむまつり2017」に参加するためです。
京都をはじめ岩手、福島、福井、広島、岡山など丹波漆を盛り上げるため遠方から多くの人々が集まりました。

一日目は漆を支える様々な道具がテーマ
研ぎ炭、漆刷毛、漆掻き道具、漆掻き職人の方々の講演と座談会。

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去年、参加した東京で行われた「滅危惧素材の道具」や京都で行われた「道具材料サミット」でお会いした職人さんとの再会になりました。
工芸をずっと下支えしながらも、なかなか表にでることのない方々
以前はあまり注目されることもなかったこのようなテーマの講演会が開かれるたび、素材とその技術を守るため世間が注目し始めたように感じています。

これらの仕事は漆器制作に絶対必要な存在ですが、その道具をつくるための材料の確保、後継者不足、収入の確保など問題は山積みです。
今あるからいいではなく、次世代に繋げるために出来ることを考えていかなければいけないとき。

かっこいい道具がたくさん

かっこいい道具がたくさん

野鍛冶の秋田さん

野鍛冶の秋田さん

製炭師の木戸口さん

製炭師の木戸口さん

漆刷毛職人の内海さん

漆刷毛職人の内海さん

一日目の講演者「漆刷毛」内海さんのレジメにこんなことがありました。
『漆刷毛は一般の方にとって馴染みのない特殊なものですが、様々な形で接点をもつことは可能だと思っています素材自体は身近なものですから。
漆刷毛は「世の中の循環から外れた廃れ行く道具」ではなく、少しでもより良い循環をもたらせるものとして世の中に参加していきたいものです。
漆芸も世間から切り離された保護される対象ではなく、これからの時代も循環の中で「生きた文化」であってほしいものです。』

内海さんは様々な形で漆刷毛と世の中との接点を作っています。
活動はこちら漆刷毛ヘアドネーションプロジェクト

漆芸とはすでに世間から切り離されたものなのでしょうか?
確かに漆というと文化財の修復に使用されたり、美術工芸品を作るのに使われたり非日常というイメージが強くなっているように感じます。
漆の使用量は、毎年のように減少し、漆塗りのものが使われる機会も少なくなりました。

漆芸は昔から続く人の手によるもの作り。本来は人の生活とともにありました。
自然からその素材と道具を受け取り、対話を繰り返すなか作り上げてきたものではないかと感じています。
「安価大量消費社会」確かに便利ですが、疑問を感じる人も増えてきました。
そんな人々に届く漆の価値をお伝えすること。
漆を「生きた文化」としてこれからも残していきたいと思います。

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二日目

今年の植栽地広々として日当たりも良好です。
今年の苗木はとても立派、おおきいです。

今年の苗木はとても立派、おおきいです。

今年の苗木はとても立派、おおきいです。

岡山の小野さんに苗木の植え方を学びます。

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苗木が風に耐えれるよう、向きを考えて、水の流れも考えて穴を掘ります。
苗木と苗木の間隔、土の固め方まで漆愛と今まで積み重ねてきた知識にあふれています。

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子供たちも一生懸命植えます。
毎年お手伝いに来て下さる大学の学生さんたち
日本各地から漆を植えることに携わっている方もきてくれています。

毎年思うことですが、土いじりって楽しいなとつい夢中になります。
今年生まれた娘を連れて植栽に参加したいと思っていましたが、
天気予報で断念したら予想をかえる好天でした。
残念

今年生まれた赤ちゃんを連れて参加のご夫婦もおられました。
この植栽地の漆が採れるのは子供たちが中学生ぐらいでしょうか?
大きくなった私の娘はこの漆の木から漆の採取が行われるときに一緒に来てくれるかな
どんな子に育ってるのか楽しみです。
一年一年過ぎるのが早いなと感じるこの頃ですが、漆が採れるようになるまでの10年から15年という月日はやはり相当長いです。

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漆の木を植え育て続けること、
植えただけでは育たない
漆の木を育て次世代につないでいくためには様々な力が必要です。

今年賛助会員になってくれたキョウテックの佐野さんもうえるかむ祭りに参加してくださいました。
植栽に参加する、棚の奥にしまわれた漆器を使う
漆を守り次世代につなぐために
みんなで守っていくに何が必要なんだろう
内海さんの言葉とおり守ってもらうものではいけない
現代に必要とされる「漆」の価値観を育てたいな
 

丹波漆は実際にウルシの木を植え大事に育て、そこから採取した樹液「漆」を使うことのできる場所。
漆が高級な塗料という認識ではなく、生きた木から頂いた樹液であること
それを感じることができる夜久野町の丹波漆
人と工芸とのつながりを感じることのできる場所として、産地として、大きくなっていけるようこれからもお手伝いしていきたいなと思っています。

 

asakitichi tsutsumi