漆の黒って?「天然黒ぐろ-鉄と炭素の物語」取材して頂きました
現在、株式会社LIXILさんが運営する「INAXライブミュージアム」において、企画展「天然黒ぐろ-鉄と炭素の物語」が開催されています。
暮らしのなかで愛される「黒」とその色素となる炭素と酸化鉄に焦点を当てたこの企画展は、「墨」「漆」「やきもの」などのゾーンにおいて、黒くするための技の解説と作品が展示されており、漆のブースで弊社も展示協力させて頂いています。
昨年の10月にこの展示会に併せて発行される書籍の取材がありました。
弊社工場における漆の黒について、工場の撮影とともに漆精製における漆を黒くする技術と私の思う漆の黒についてお話しました。
漆の黒に人は昔から魅了されてきたのでしょうか?
車メーカーや時計メーカーの技術さんが漆の黒を再現したいと工場見学に来られることがあります。
「合成塗料で漆の質感を出すにはどうすればいいのでしょうか?」
「合成塗料の黒と漆の黒の違いってなんでしょうか?」
「漆の黒の出し方は?」
「そもそも漆と合成塗料の違いってなんですか?」
「漆って高いですよね?」
いろんな疑問を持って工場にこられます
技術さんと工場で漆の精製を直接見てもらいながら漆の黒や特性についてお話します。
日本大手のメーカーの技術さんたちが普段おられる工場や研究室で開発される塗料とはまるで違う昔ながらの漆の精製方法。
精製方法に違いはあれど昔も今も変わらず漆を黒くしているのは漆と鉄イオンによる反応。
飴色のような透明の茶褐色である漆に鉄イオンが反応して透明の黒になっていきます。
私はこの透明の黒の重なりによって表現される漆の黒がとても好きです。
塗膜に関しても漆は水分を少し残したまま硬化する唯一の塗料です。
その塗膜はしっとりしていてさらさらした独特の感触を持ちます。
透明の樹脂に黒の顔料をいれる不透明な塗料の黒とは異なります。
技術さんも漆の精製と原理を知って漆の黒い塗膜にすっかり惹きつけられます。
自然物が作り出すものは数値では表せない五感で感じる魅力があるのかもしれません。
漆の黒は精製の仕方はもちろん使い方でその表情が変わってきます。
漆の塗り方、加飾の仕方、磨き方など関わる人の技術。
そのすべてがそろって初めて古来から続く漆の黒が表現されます。
本書の漆部門では
髹漆の重要無形文化財保持者 小森邦衛氏
蒔絵の重要無形文化財保持者 室瀬和美氏
呂色師の大橋清氏が漆の黒についてお話されています。
漆の黒の魅力がぎっしり詰まっています。
墨、やきものや漆の黒にまつわることがぎゅっと詰まった一冊。
展示会も4月10日まで開催されています。
ぜひご高覧下さいませ!