Kougei now「道具・材料サミット」でお話させて頂きました

 

12月22日京都リサーチパークへ「道具・材料サミット」に参加してきました。

 

Kougei nowは「未来志向」をキーワードに、京都府内の様々な産地において、伝統産業に関わる人々と一緒に産地の現状と将来を見つめ直し、次世代のものづくりの指針を探るというもの。

 

「丹後テキスタイル」・「京焼・清水焼」・「道具・材料」

3つのテーマに焦点をあてたサミットを開催し、そこで広がる議論をとおして工芸を未来につなぐ手立てを考えるというものです。

 

「枯渇の危機にある天然素材と材料・道具について」

 

私が参加した「道具・材料サミット」は「枯渇の危機にある天然素材と材料・道具について」というテーマのもと、

安定供給が危ぶまれる工芸素材の生産者(漆搔き職人・漆刷毛職人・和蝋燭職人・漆精製)が現状を報告、

今後について来場の工芸の職人さんも一緒になって意見交換が行われました。

 

 

私も漆の現状と今後の展望をお話しさせて頂きました。

 

漆屋として日々仕事をする中で感じる危機感があります。

年々減少する漆の消費量や輸入する中国産漆や日本産漆の現状を肌で感じています。

問題は山積み。

なんとかしたいが、なんにもできない日々

力になるかわからないけれど、伝える事から始めようと漆の現状と魅力を伝える小冊子

「うるしのいっぽ 」を制作しました。

 

なんとか次世代に漆と漆の文化をつなぎたい

 

漆には魅力がいっぱいだけど、

漆屋として特に感じる魅力は漆の精製による変化や循環可能なエネルギーであることです。

 

漆の精製は毎日の温度・湿度といった天候にも左右される。

自然とのバランスを感じながら行う作業は難しくもあり、おもしろいところ。

精製の仕方によって様々な艶、乾き、粘さに変化していきます。

 

ウルシの木を植えて、育てて、掻いて、塗って、漆のモノを使って、修理して

この長くて大きな輪が壊れない限り枯渇することのない循環可能な素材です。

 

この素材は現代の生活に伝えるべきたくさんの要素をもっています。

 

こんな塗料(素材)を無くしたくないなとつい思ってしまいます。

 

最初は作っても何も変わらないかもと思っていた

「うるしのいっぽ」
今年はいろんな場所で漆の話をする機会を頂いて

 

漆の現状や魅力を伝える事

 

それが漆を増やし漆と漆の文化を次の世代につなぐ一手になるのではないか?

そう思えるようになりました。

 

東京でお話しさせて頂いた絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」や

今回のサミットのように工芸の材料・道具に府や様々な機関が興味を持って支援して頂けるのはとても力強いです。

 

その中で感じること

 

現代の生活において、漆は日常から距離のあるものになっていると感じます。

このサミットで、その他の工芸でも同じような状況だと感じました。

 

現代の生活にあった機械で作られた工業製品

工芸とは天然素材を用いた人の手による物作りかと私は思います。

 

工芸は工業製品にとってかわるものではなく、現代の生活をほんの少し豊かにするものとして、魅力をまだまだ持っているはず。

 

そう思えるもの作りや価値観が広がらないと工芸は続かないのでは。

 

サミットや講演会といった場所には工芸に興味のある方が参加者の大半を占めています。

興味のない方にどうやって伝えるか?

 

Kougei nowでは3つのサミットを伝える映像を作り、

京都駅の地下街で2/16から2/28の間、上映。

 

同時に京都府クラフト・コンペティション」の受賞作品も展示。

多くの方に工芸を伝え、新しい魅力を発信されていました。

 

漆をより身近に、「知らなかった、ちょっといいな漆、使ってみよう!」と思ってもらえるそんな価値観。

漆を植えるにも、増やすにも現代に必要な価値観かと思います。

 

興味のない方に漆の魅力をどうやって伝えるか?

材料屋として素材を生かす発信をしていかなければいけない。

 

工芸には問題が山積み

 

すぐに解決できることではないけれど、

工芸が現代に必要のないものと勘違いされ、人知れず消えてしまう前に

 

様々な分野の人が情報を共有し、今できることを具体的に行動しなければいけない。

 

このサミットを通してそう強く思いました。

 

asakitichi tsutsumi