「BEYOND TRADITION」 URUSHI×ALAIA 日本上映ツアー

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株式会社堤淺吉漆店の堤卓也です。

当社の新プロジェクト『BEYOND TRADITION』がいよいよ動き出しました。
このプロジェクトは、「漆×サーフィン」「漆×BMX」「漆×スケートボード」という3つのテーマで漆の素材としての魅力発信や新たな価値観の創造を目的にスタートしたものです。

 

概要をご案内する前に、まずは漆屋としての私たちの想いと漆の現状についてお話しさせて下さい。

 

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安価大量生産、使い捨ては当たり前の時代。
石油製品が溢れ、欲しい物は何でも手に入る。
そんな時代の中、漆製品は日常生活からかけ離れてしまっています。
現実、漆の生産量は年々減少し続けています。
確かに便利な世の中ですが、本当にそれで良いのでしょうか?

便利な反面、知らぬ間に環境に負担をかけているのではないか。
そして「物を大切にする気持ちや、感謝する心」「世代を超えて、永く受け継いでいく」。
そんな大事なことが忘れられてはいないでしょうか?

 

「木を植え、育て、採取する」。
樹液である漆は、この循環を壊さなければ枯渇しない循環可能な地球に優しい資源。
漆が作り出す独特の塗膜は、しっとりと人の肌に馴染み、使い込むことで味わい深い艶や風合いになっていく。
物によっては傷も一つの味となり、劣化する様も美しく、カッコいい。傷んだり、壊れても修復して繰り返し使うことができる。
天然だからこそ、木も一本一本個性があるし、使い手によって十人十色の思い出が出来る。
漆は、木を植え、育てるところから、使い込んで、塗り替え、また使い続けるところまで、全てのシーンに物語があります。

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こうした漆の天然素材としての魅力やストーリー性は、自然の中で遊び、暮らす人々に共感してもらえるのではないか。
そこから新たな価値観が芽生えれば、減りつつある漆を求める声が大きくなる。
木を育てる活動に繋がり、それが漆と、漆の文化を未来につなぐことになる。
漆がまた、生活の一部に入る頃、おのずと環境について考えたり、感謝したり、物を大切にする気持ちが生まれる。
そこには、きっと明るい未来が待っているはず。

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私たちは漆にはそんな見えない力があると信じています。
そんな漆の力を、国を超えて多くの人に伝えたい
こんな思いを込めてこのプロジェクトをはじめました。

 

 『From surfing to traditional crafts.』~工芸からサーフィンへ~

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今年8月30日(金)からは『BEYOND TRADITION』関連イベントとして、KYOTO KOUGEI WEEK実行委員会との共催で『From surfing to traditional crafts.』~工芸からサーフィンへ~を開催致します。

 

【京都展】

『From surfing to traditional crafts.』~工芸からサーフィンへ~

会期:2019.08.30[FRI]…09.08[SUN]

会場:FabCafe Kyoto/MTRL KYOTO

 

このイベントは「漆×サーフィン」をメーンとした『BEYOND TRADITION』のスピンオフ企画。

私の古くからのサーフィン仲間で、「SHIN & Co.」プロデューサーの青木真さんと2年がかりで進めてきた「漆アライアプロジェクト」のこれまでの軌跡を辿ります。詳細はwww.rethink-urushi.com

【アライア=古代ハワイアンが乗っていた木製のサーフボード】

 

サーファーたちは皆、海を愛し、自然を大切に思っている。
でも、私も含めて使っているボードやワックスはケミカルなもの。
海を守りたいと思っていても、現実的には負担をかけてしまっているのではないか?というジレンマがある。私も青木君も同じ。

 

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青木君と再会したのは、ブルガリアから来日した映像作家クリストとともに当社を訪れた2年前のこと。
撮影を通して漆という天然素材に興味を抱きはじめたと言います。

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撮影中に私が「ウッドのボードに漆を塗ってみたい」と話しを切り出した時、私たちは偶然にも同じ人を思い浮かべました。
オーストラリアでアライアを現代に蘇らせている「トム・ウェグナー」さんです。
トムさんは、世界中のサーファーのライフスタイルを収めた映画「スプラウト」に登場している世界的ウッドサーフボードシェーパー。
私は10年ほど前、この映画を観た時に「この人のアライアに漆を塗りたい」と漠然と思い描いたのを覚えています。
もちろんこの映画のファンでもある青木君は、オーストラリアでのサーフィンリペアマンの経験やコネクションを活かして、「トムさんに会いに行こう」。と意気投合したのがこのプロジェクトのきっかけです。

天然木のアライアに天然の漆。
いずれ全てが土にかえる天然素材のみで作ったサーフボード。

これなら、私たちサーファーたちのジレンマが無くなる。

漆と木。サーフィンと漆。海と漆。海と山。

私たち堤淺吉漆店が訴える、サスティナブルな天然素材「漆」の価値観は、きっとトムさんにも共感してもらえるはず。

 

2018年3月、私と青木君はオーストラリアのトムさんを訪ねる旅に出ました。

 「あなたのアライアに僕の漆を塗らせて下さい」

 

このプロジェクトは、この言葉から始まりました。トムさんに私たちの想いを伝え、共感してもらったことで、日豪の漆アライアプロジェクトは動き出しました。

今回、イベントで上映されるショートムービー『BEYOND TRADITION』は、青木君のプロデュースにより、私がオーストラリアを訪れたところから、漆アライアが出来、トムさんに乗ってもらうところまでをドキュメンタリーでまとめてあります。

トムさんとの出会いから漆アライアが出来るまでをブログで紹介しています。
こちらにアクセスしてみて下さい。

今後は、会期中の様々なイベントごとに詳細をアップしていきます。
また、オーストラリアで撮影した写真を中心に、このプロジェクトの軌跡を少しずつでFacebook/Instagram紹介していきますので、よろしければご覧ください。 

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asakitichi tsutsumi